第32回日本コンピュータ外科学会大会

大会長挨拶

第32回日本コンピュータ外科学会大会は、今回初めて南九州の地、鹿児島で開催させていただくこととなりました。2023年12月1日(金)~3日(日)の3日間、かごしま県民交流センター(鹿児島市)での開催を予定しております。新型コロナウィルス感染症の拡大から3年を経過し、未だ完全な収束は見えない状況ではございますが、国内社会もWithコロナにより以前の状況を取り戻しつつあり、現地開催にて皆様を鹿児島の地にお迎えしたいと考えています。

今回のテーマは、「働き方改革とコンピュータ外科」と致しました。医師の働き方改革は2024年4月からの本格的な開始を目前に控えています。国内では医師、特に外科医の過重労働が長年問題となっていましたが、本大会で医師の働き方改革においてコンピュータ外科の果たす役割について議論ができればと考えています。一方で我が国において輸入過多といわれて久しい治療を目的とする医療機器、特に手術支援ロボットの開発では、近年国産機器の開発や上市が続いており、今後本邦の産業を発展させる領域となる可能性を秘めていることもあり、本学会大会での発表や議論は今後ますます重要となるものと考えます。

私自身は、本学会元理事長の橋爪誠先生のもとでCASに携わるようになった2003年の本学会大会に初めて参加しましたが、その20年後の大会を”進取の気風”を掲げる鹿児島大学で主催させていただくこととなり、大変感慨深い思いがあります。ご存知のように鹿児島市には世界遺産となったことでも有名となった「明治日本の産業革命遺産」の一つである集成館事業があります。これは幕末の薩摩藩主島津斉彬が興した我が国初の洋式工場群「集成館」を中心とした近代化事業の総称で、斉彬公はこの地を中心にして造船や鉄製大砲製造などの軍備の増強に関するものからガラス製造、紡績、写真、電信など、民需や社会インフラ整備に関するものまで様々な事業を展開し、近代化を図りました。また鹿児島大学は先般ご逝去された京セラを創業した稲盛和夫氏を輩出しており、鹿児島には“新しいものを生み出し、育てる”土壌を備えています。

鹿児島の地で開催するこの大会ではテーマの働き方改革に加えて、新しい技術を生み出し、どのように育てるか、またそれを担う若手研究者の育成やキャリア形成にもスポットライトを当てたいと考えています。皆様方におかれましては奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。

第32回日本コンピュータ外科学会大会
大会長  家入 里志
(鹿児島大学学術研究院 小児外科学分野)